What we do
乾眠生物に携わる若手研究者の
生物種横断的な交流・情報交換
代表挨拶
顕微鏡の発明者であり微生物学の父と呼ばれたレーベンフックが1702年にイギリスの王立協会に宛てた手紙により極限的な乾燥による死を回避する生物の存在 (当時の発見は後にワムシであったことが明らかに) が初めて世に登場しました。そしておおよそ300年経過した今、ワムシや線虫、クマムシ、ネムリユスリカや様々な植物がこの乾燥耐性を有することが明らかになり、多くの研究者の努力によってこの分子、細胞、組織そして個体に至る様々な水準での生物学的なメカニズムの解明が日進月歩で進んでいます。さらに現在ではこれまでに培われたメカニズムに関する知見をもとに、この乾燥耐性という機構をものの保存技術や果ては宇宙空間における極限的な環境での生命維持にも応用しようという試みがなされています。
さて、多くの研究者によってこの乾燥耐性研究は発展を続けているわけですが、多様な生物が乾燥耐性を有するのにも関わらず、生物種ごとに閉じられた中での知見の蓄積に限られがちになっていることは皆様も感じられるところではないでしょうか?すなわち、多様な生物が共通して有する乾燥耐性に一定の普遍的な原理があることが予想される一方で、われわれはいまだそこに立ち入るための武器を十分に手にできていないのではないか、と私たちは考えました。このような普遍的な原理の解明は、言わずもがな基礎研究と応用研究を橋渡しする上でなくてはならないものであり、学際的研究と産業応用の両立を目指した研究が求められつつある乾燥耐性研究においてなくてはならないものとなります。そのために今回、生物種の垣根を超えて“乾燥耐性を有する生物“を研究する若手の研究者同士で知の共有を行うことこそがこの大きな問いに対する第一歩となると信じ、 今回乾眠生物若手の会を発足することに相成りました。
本会によって、皆様のこれまでに培われた乾燥耐性に対する知見を幅広く共有し、これら生物の普遍性と多様性の原理に一歩でも迫ることができれば幸甚の至りです。
慶應義塾大学 理工学部
山田貴大